IELTSのスピーキングテストは、試験官と対面で行う11~14分程度の面接形式の試験です。英語で質問に答えるだけでなく、限られた時間内で論理的に話を展開し、自分の意見を述べる力が求められます。この記事では、初心者の方にもわかりやすく、最新のIELTS試験の傾向から高スコア取得のテクニック、さらにネイティブと非ネイティブ受験者の違い、実際の受験体験談からの学び、おすすめの練習教材やアプリまで、IELTSスピーキング対策の重要ポイントを網羅します。10,000文字を超えるボリュームで、基礎から応用まで丁寧に解説しますので、ぜひスピーキング力向上にお役立てください。
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1. 最新のIELTSスピーキング試験の傾向
まずは2024年時点でのIELTSスピーキング試験の最新傾向を押さえましょう。試験形式そのものはここ数年で大きく変わっていませんが、出題トピックの内容や更新時期にいくつかの変化が見られます。また、最近の受験者レポートから頻出テーマも分析できます。
2024年の変更点:出題トピック更新サイクルの変化
IELTSスピーキングでは、これまで年3回(1月・5月・9月)の頻度で問題プールの一部入れ替えが行われ、1~4月、5~8月、9~12月で出題されるトピックがある程度固定されていました。
しかし近年ではこの方式が変わり、時期に関係なく不定期に新トピックが追加・入れ替えされるようになっています。
実際、2024年4月に通常サイクル外で一部トピックの入れ替えが行われたとの報告もあり、今後は3ヶ月ごとの更新(年4回)に移行した可能性が指摘されています。
こうした変更により、「過去問の丸暗記」だけでは対応しきれない場面が増えています。常に最新の話題に触れておき、様々なテーマに柔軟に答えられる準備が重要です。また、トピック更新が不定期化したとはいえ、過去に頻出だったテーマが引き続き出題されることも多いため、定番テーマの対策も引き続き有効です。
直近で頻出のテーマ傾向
近年のIELTSスピーキングでは、現代的で社会性の高いテーマが目立つ傾向にあります。例えばIT技術やロボット、SNS(ソーシャルメディア)の扱いといった話題は2024年の試験でも頻出だったとの声があります。実際に「SNSについての質問が出た」という受験者報告もあり、最新テクノロジーやインターネットに関する語彙・表現を準備しておくことは有効です。
加えて、環境問題や気候変動、ライフスタイルの変化などグローバルな関心事もよく問われます。ある受験報告では、Part1で「天候(Weather)」や「家で過ごすこと(Staying at home)」、Part2で「学校に関する思い出」などの質問が出題された例があります。
また、「科学技術の進歩」「ソーシャルメディアの影響」といった抽象度の高いテーマがPart3で議論されることも多く、一般常識や社会問題に対する自分なりの意見を持っておくことが望まれます。
最新の受験者の声から、想定外の質問に備えることも重要だとわかります。特にPart3では予想外の切り口から一般論を問われ、即答に詰まるケースがあるようです。
対策として事前に様々なトピックの練習問題に当たり、回答の大枠を用意しておくと、いざという時落ち着いて答えやすくなります。
最新傾向として何が出やすいかを把握しつつ、「このテーマは知らない…」という状況でも最低限何かしら話せる引き出しを作っておきましょう。
2. 高スコア(バンド8.0+)を取るための細かいテクニック
続いて、IELTSスピーキングで高スコア(例えばバンド8.0以上)を狙うための具体的なテクニックを紹介します。英語力そのものはもちろん大事ですが、実際に高得点を取得した先輩受験者たちは試験でスコアを最大限引き出すコツを押さえています。ここでは、即答力の鍛え方や回答構成の工夫など、スコアアップに直結するテクニックを解説します。
(1) 「即答力」を鍛える:考え込まないための練習
スピーキングでは質問に対してスムーズに返答する即答力が求められます。長い沈黙や「えーっと...」と考え込む時間が続くと、流暢さ(Fluency)の評価に響いてしまいます。
即答力を鍛えるには、日頃から英語で瞬間的に文を作るトレーニングを積むことが有効です。
瞬間英作文トレーニング: 日本語の簡単な文を見て即座に英語にする練習を繰り返すと、英語で考える速度が上がります。市販の『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』
などの教材を使い、1日数分でも継続しましょう。「与えられたトピックについて即座に意見を述べる練習ができ、抵抗感が減った」という声もあります。独り言英会話: 日常生活で目に入ったものや感じたことを、その場で英語で独り言のように表現する癖をつけます。例えば朝食を食べながら「This breakfast cereal is slightly sweet and crunchy...」などと声に出してみます。誰もいないところでOKです。これを習慣化すると、頭の中で日本語から翻訳せず英語で直接話す回路が鍛えられ、本番でも考え込まず言葉が出やすくなります。
タイマードリル: Part2対策として1分でメモ準備→2分間スピーチの練習を繰り返しましょう。限られた準備時間で話す内容を組み立て、時間いっぱい話しきる訓練は即興力アップに効果的です。本番同様の模擬試験形式で練習できるスマホアプリ「IELTSpeaking」では200以上の予想問題でこの練習ができます。本番さながらの環境で繰り返すことで緊張感にも慣れ、素早く話し始める度胸がつきます。
万一質問に対して考えがまとまらない場合でも、つなぎ表現(フィラー)を活用して時間を稼ぐテクニックも覚えておきましょう。「Well, let me see...」や「That’s an interesting question...」といった言い出しで数秒間考える余裕を作れます。ただし多用は禁物で、自然に一呼吸置く程度に留めます。また質問を言い換えて確認するのも有効です(「So you’re asking if...」)。こうした工夫で、沈黙を避けつつ落ち着いて回答を始められるようになります。
(2) 回答の構成を工夫する:PREP法と論理展開
内容が支離滅裂にならないよう、論理的な回答構成を意識することは高得点への重要ポイントです。特にバンド7.0以上では一貫性・論理性(Coherence)が重視されるため、話の筋道が明確である必要があります。
おすすめの方法がPREP法と呼ばれるフレームワークの活用です。
PREP法: Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(例)→ Point(結論の言い換え)の順で話す構成です
。まず自分の意見や答えを簡潔に述べ(Point)、次にその理由を説明します(Reason)。さらに具体例や体験談で肉付けし(Example)、最後にもう一度ポイントをまとめます(Point再提示)。この型を使うと短時間でまとまりのある発言が可能になり、内容に一貫性が生まれるため採点官にも理解されやすくなります。話の肉付け: 高スコア取得者は、上記PREPのReasonやExample部分を豊富な詳細で膨らませる努力をしています。理由を述べる際に「なぜなら~です」と一言で終わらせず、背景や結果にも触れてみる、例を出す際に具体的なエピソードや数字を交えてみる等、質問に関連した情報をできるだけ盛り込んで話を広げることがポイントです。「話を長く続けても軸がブレないよう基本構成を守ることが大切」との指摘もあります。土台(Pointと結論部分)がしっかりしていれば、多少話が長くなっても論旨がぶれることなく、むしろ豊かな内容として評価されます。
接続詞・論理展開語の活用: 文章と文章をつなぐ接続詞やフレーズを適切に使うことで、回答に論理的な流れと聞きやすさを与えられます。「and, but, so, because」だけでなく「furthermore(さらに), however(しかしながら), for example(例えば)」など多彩な語を使い分けましょう。同じ表現の繰り返しは語彙の貧弱さを印象付けてしまうため要注意です。例えば「そして」と言いたい場面でも毎回andではなく、moreover / additionally / besidesなど言い換えられるとベターです。接続表現の類義語リストを作って練習しておくと、「話の流れをつなぐ言葉」がスムーズに出てくるようになります。接続詞を駆使して論理展開することで、豊かな語彙と論理性の両方をアピールできます。
このように、構成力と言葉の使い方を工夫するだけでもスコアに大きな差が出ます。実際にIELTSスピーキング8.0を取得した受験者も「基本の構成を守り、接続詞を活用して論理を通す」戦略を強調しています。普段の練習からPREP法で回答を組み立て、話のつなぎ目に適切なフレーズを入れる癖をつけましょう。
(3) 発音とイントネーション:伝わる話し方を意識
英語の発音やリズム、イントネーションもスピーキングスコアに大きく影響します。スコアの採点基準にはPronunciation(発音)が明確に含まれており、評価の一項目となっています。特にバンド8.0以上を取る人は発音面で高評価を得ているケースが多いです。
「伝わる発音」が最優先: ネイティブのような完璧な発音でなくても構いません。大切なのは試験官にきちんと意味が伝わる発音です。IELTSの試験官は世界中の様々なアクセントの英語を聞き慣れているため、多少訛りがあっても理解してもらえます。むしろ緊張で声が小さくなったり早口で不明瞭になる方が問題です。はきはきと自信を持って話すことで、「この人の英語は聞き取りやすい」と良い印象につながります。
発音練習の方法: カタカナ英語の癖を直し英語らしい発音に近づけるには、耳と口の両面からの訓練が必要です。具体的には、
ネイティブ音声を聞いて真似るシャドーイングを習慣化する。市販の発音教材やBBC/Londonの英語ニュースを使い、音声をそっくりそのまま模倣します。自分の発音を録音して聞き返すと客観的にズレを修正できます。
スマホアプリの活用:AIフィードバック機能のあるアプリで発音矯正も効果的です。例えば「ELSA Speak」は最先端のAI技術でユーザーの発音をリアルタイム分析し、どの音を改善すべきか細かくフィードバックしてくれます。自分の発音スコアがパーセンテージで表示され、ゲーム感覚で練習できます。
音素ごとの練習: 英語特有のRとL、th音など、日本人が苦手な音に的を絞って練習することも有効です。発音記号を確認し、口や舌のポジションを解説した動画(YouTubeなどに多数)を参考に、一音ずつ矯正してみましょう。例えば「rice」と「lice」のようにR/Lの違いで意味が変わる単語をペアで練習すると違いを体得できます。
イントネーションと強弱: 単語単体の発音だけでなく、文章全体の抑揚にも注意しましょう。英語らしい抑揚(イントネーション)や単語ごとのストレス(強勢)を意識すると、格段に**「ペラペラ感」**が増します。例えば重要な単語をしっかり強く発音し、文章の区切りで音程を下げる/上げるといった調整です。ネイティブの音声を真似る際には、この抑揚も含めてコピーするのがコツです。
音声面の磨き上げは一朝一夕にはいきませんが、毎日の練習で少しずつ改善できます。伝わる・聞き取りやすい英語を常に意識して発話しましょう。
(4) 語彙と表現力:多彩さと適切さ
スピーキング高得点者は、語彙力においても豊かさと正確さを示しています。ただし闇雲に難しい単語を使う必要はなく、質問に合った適切な単語を使い分けることが大切です。評価基準のLexical Resource(語彙の資源)では「語彙の範囲と的確さ」が見られます。
類義語の活用: 先ほどの接続詞の例と同様、一つの意味を表すにも異なる単語を交えられると評価が上がります。例えば「嬉しい」という気持ちを表現するのに、happyだけでなくpleased, delighted, thrilledなど状況に応じて言い換えられると良いでしょう。同じ単語の繰り返しを避けるだけでも語彙の多彩さを示せます。日頃から言い換え表現を意識し、話すときに「あれ、さっきも使った単語だな」と思ったら別の表現に切り替える癖をつけましょう。
トピック特有の単語: 頻出トピックについては、その分野のキーワードを押さえておくと回答に深みが出ます。例えば「環境問題」ならclimate change, renewable energy, sustainability、「テクノロジー」ならartificial intelligence, social media, innovationといった単語をスムーズに使えると強みになります。とはいえ無理に専門用語を並べる必要はなく、自分の話す内容に関連する語を的確に使うことが一番です。
口語表現と慎重な使用: 日常会話的なイディオムやスラングは使いすぎない方が無難です。自然な表現として*“I was over the moon.”(とても嬉しかった)程度のイディオムを入れるのは効果的ですが、“like”*を連発する口癖や砕けすぎたスラングは避けましょう。試験はあくまでフォーマル度合いの高い場ですので、丁寧で適切な言葉遣いを心掛けます。
最後に注意したいのは、話す内容そのものよりも話し方や構成、伝達力がスコアに直結するという点です。実際に「語彙や話す内容はそこまで響かない」と感じるほど、流暢さや発音がスコアを押し上げたケースもあります。語彙力は大切ですが、それ以上に今持っている語彙を駆使して論理的かつ流暢に話す技術を磨くことが高スコアへの近道です。
3. 英語ネイティブ受験者と非ネイティブ受験者の違い
IELTSは世界中の英語話者が受験する試験です。当然、英語を母語とするネイティブスピーカーもいれば、第二言語として学んできた非ネイティブスピーカーもいます。このセクションでは、ネイティブ受験者と非ネイティブ受験者それぞれの特徴や陥りやすい点を見ていきましょう。ただし前提として、IELTSの評価基準は全受験者に共通であり、「ネイティブだから自動的に高得点」というわけではないことに留意してください。
ネイティブ受験者が陥りやすいミス
英語ネイティブスピーカーは流暢さや発音において有利な反面、試験特有の落とし穴にはまることがあります。実際、「ネイティブでもIELTSで満点(9.0)は必ずしも取れず、小さなミスで減点される」との指摘があります。ネイティブ受験者が陥りやすいポイントをいくつか挙げます。
回答が簡潔すぎる: 普段の会話感覚で質問に対し必要最小限で答えてしまい、説明が不足するケースです。例えば「Do you work or study?(お仕事ですか勉強中ですか)」に対し、ネイティブだと*“I work at a bank.”*と一文で終えてしまうかもしれません。しかしIELTSではその後に「具体的にどんな仕事か」「なぜその仕事を選んだか」など自発的に説明を付け足すことが求められます。ネイティブであっても、一問一答で済ませず広げて話さないと高得点は難しいでしょう。
口語表現・スラングの多用: ネイティブはカジュアルな表現に慣れているため、試験でも思わず“you know,”や“like,”を連発したり、砕けた言葉遣いをしてしまうことがあります。これは語彙の豊かさや適切さの面で減点につながりかねません。IELTSではフォーマルすぎる必要はありませんが、kinda, gonnaのような崩した言い方よりkind of, going to*といった形で話した方が無難です。
文法ミスへの油断: 母語であっても話し言葉では文法的に完璧でないことがあります。例えば時制が混乱したり、関係代名詞を省略してしまったり。しかしIELTSでは文法の正確さも評価対象ですので、ネイティブでも文法ミスが多ければ満点は難しいと言われます。スペルミスはスピーキングでは関係ないものの、動詞の単複一致や時制など注意が必要です。ネイティブの方でも、試験対策として意識的に正しい文法で話す練習をすることが求められます。
以上のように、ネイティブだからといって油断するとスコアを落とす可能性があります。実際に「ネイティブでも満点は難しいレベル」とされ、慎重さが必要だと指摘されています。逆に言えば、ネイティブでなくとも試験技巧と努力次第でネイティブ並みのスコアを取るチャンスがあるということです。
非ネイティブ受験者が意識すべきポイント
一方、非ネイティブの受験者(日本人を含む)は英語が第二言語である分、文法知識や試験対策への意識が高いという利点があります。とはいえネイティブに比べて劣る部分を補い、持ち味を活かす工夫が必要です。
完璧さより伝達重視: 非ネイティブの場合、「間違えたら減点される」と完璧を求めすぎてしまいがちです。しかし実際には小さな間違い一つが致命的になることはなく、全体のパフォーマンスが重視されます。むしろ間違いを恐れて沈黙したり、片言になってしまう方がマイナスです。「ネイティブだって言い間違えることはある。1つのミスで大きく減点されることはない」と公式対策サイトでも強調されています。多少ミスがあっても、最後まであきらめず話し続ける積極性が大切です。
緊張対策: 非ネイティブにとって外国語で試験官と話すのはプレッシャーが大きいもの。緊張すると知っているはずの単語も出てこないことがあります。これを防ぐには、事前に模擬面接を繰り返し練習して度胸をつけることです。オンライン英会話やスタディパートナーと模擬テスト形式で練習すれば、本番でも「あのときと同じだ」と落ち着いて話せます。また試験官は怖くないということも知っておきましょう。受験者レポートによれば「面接官はニコニコと優しく聞いてくれた」という体験談もあり、萎縮せず会話を楽しむくらいの気持ちで臨む方が実力を発揮できます。
自分の強みをアピール: 非ネイティブ受験者はネイティブほど発音が良くないかもしれませんが、逆に論理的に準備した回答や独自の視点を盛り込むことで差別化できます。例えば日本文化に絡めた例を出したり、自身の母国での経験を交えて説明したりすると、試験官の印象にも残りやすくなります。他人の受け売りではない自分の言葉で話す姿勢は評価につながります。
アクセントへの過度な固執は不要: 非ネイティブにありがちなのが、「イギリス英語の発音で話さなければ…」と発音そのものに固執しすぎることです。前述の通り、多少訛りがあっても問題ありません。通じる発音かどうかが大事なので、癖の強い母語訛りは直す努力をしつつも、「完璧なRP(英国標準発音)でなくては」と神経質になる必要はありません。むしろ発音に意識を割きすぎて内容が疎かになる方が危険です。
要するに、非ネイティブ受験者は持てる力を最大限発揮する戦略が重要です。IELTS講師のコメントでも「第二言語の人が8.0を目指すには相当な時間と努力が必要だが、不可能ではない」とされています。実際にネイティブでなくとも9.0を取得した人も存在します。正しい方向で努力すれば、ネイティブと肩を並べるスコアを取るチャンスは十分あります。
同じ評価基準で競うという現実
最後に強調したいのは、IELTSではネイティブか非ネイティブかは一切考慮されず、全員が同じ採点基準で評価されるということです。ですから非ネイティブの私たちも卑屈になる必要はなく、逆にネイティブの人も油断できません。例えば日本人受験者でも、準備を徹底して臨めばネイティブより高いスピーキングスコアを取ることだって可能です。大切なのは、「自分は非ネイティブだから…」と萎縮せず、試験官に『この人は英語が使いこなせている』と思わせる総合力を示すことです。
ネイティブ・非ネイティブそれぞれの強み弱みを理解し、自分に何が足りないかを客観的に見つめて対策に活かしましょう。そうすれば立場に関係なくIELTSスピーキングで高スコアを掴むことができます。
4. 実際の受験体験談から学ぶ:成功例・失敗例
机上の対策だけでなく、実際にIELTSを受験した人の体験談には貴重なヒントが詰まっています。この章では、受験者の成功例・失敗例を交えながら、どんな準備が有効だったのか、逆に本番でどんな落とし穴があったのかを見ていきます。先人の経験を自分の学習に活かしましょう。
苦い失敗例:緊張と準備不足が招いた悲劇
まずはスピーキングで失敗してしまった体験談です。ある初回受験者の方は、「今までで一番最悪のテスト」と振り返るほどスピーキングで苦い経験をしました。具体的には、Part2の2分間スピーチ中に話がわからなくなり約20秒間沈黙してしまったというのです。さらに、Part3では質問の意図がつかめず黙り込んでしまい、試験官に「すみません、質問の意味がわかりませんでした」と謝る始末でした。試験官が救済的に質問を言い換えてくれたものの時すでに遅く、その後も焦りで頭が真っ白になり、結局スピーチは途切れ途切れになってしまったそうです。
この失敗例から学べることは何でしょうか?主に以下のポイントが挙げられます。
緊張対策とメンタルコントロール: 本番で頭が真っ白になる原因の多くは緊張です。この方もPart1の途中から硬くなってしまい、負の連鎖でPart2に影響した可能性があります。緊張しやすい人は、当日の深呼吸や試験官とのアイコンタクトなどリラックスする工夫を試しましょう。また事前練習で類似のプレッシャーを経験しておくことも大切です(模擬試験形式の練習など)。
想定外の質問にも対応できる引き出し: 質問の意味がつかめず沈黙…という事態を防ぐには、やはり日頃から様々なトピックの質問に触れておくことです。「こんな質問は予想していなかった!」と戸惑わないよう、公式問題集や予想問題集で幅広いテーマをカバーして練習しましょう。それでもわからない単語や質問が出たら、冷静に推測したり言い換えて確認することが大事です。上記受験者のようにすぐ謝って終わりにするのではなく、「I’m not entirely sure what you mean by X, but I guess ...」のように自分なりの理解で話し始める勇気も必要だったでしょう。
途中で諦めない: 話していて混乱しても、完全に黙り込まず何とか言葉を継ぐ努力が求められます。前述の受験者も、途中で何度か止まりつつも「何とか沈黙を破り話し始めた」と言っています。たとえ内容が飛んでしまっても、「Sorry, let me rephrase that. …」と言い直すなどして、とにかく時間いっぱい話す姿勢を見せましょう。その粘り強さ自体が評価に繋がることもあります。
この方は結果的にスピーキングで望むスコアを得られず非常に悔しい思いをしたようですが、その後悔ポイントは「もっと対策しておけばよかった!」という一言に尽きるそうです。準備不足で本番に臨む怖さを物語るエピソードでした。
成功例:十分な準備と冷静な対応で高スコア達成
一方で、しっかりと対策をして高得点を勝ち取った成功例もあります。例えば、IELTSスピーキングで7.0や8.0を初受験で達成した人たちの声を探ると、共通して以下のような工夫や心構えが見えてきます。
入念な模擬練習: 成功者の多くは、本番前に何度も模擬面接をこなしています。オンライン英会話で試験形式のレッスンを受けたり、友人と予想問題でロールプレイしたり、「初めての形式」にならないように準備しているのです。「試験官とのやり取りの流れを事前に把握できていたので落ち着いて答えられた」との声もあります。初見の事態を減らすほど安心して実力を出せるでしょう。
各パートの戦略を熟知: 高スコア取得者は、Part1ではテンポよくハキハキ答え、Part2ではメモを活かしてストーリーを展開し、Part3では試験官と積極的に議論を深める――といったパート別の戦略を持っています。「Part3では抽象的な質問が来るとわかっていたので、自分の意見+社会一般の視点を織り交ぜて答える練習をしていた」といった準備が奏功した例もあります。各パートごとに目指す受け答えのスタイルを決めて練習しておくと、本番でも迷いが減ります。
トラブルへの柔軟さ: 成功した受験者でも、時には予想外の質問や聞き取りにくいアクセントの試験官に当たるなどハプニングはあるようです。しかし彼らはそうした場面でも慌てず、「落ち着いて聞き返した」「一度質問を言い換えて確認した上で回答した」と冷静に対処しています。「困ったときほどゆっくり丁寧に話す」くらいの心構えが奏功し、結果的に高評価を得たとの報告もあります。焦らず状況をリカバリーする力も大事ですね。
モチベーションの維持: IELTSの勉強は長期戦になりがちですが、高得点者は概してモチベーションを高く保っています。具体的な目標(留学や移住のため○月までに7.0取得など)を掲げ、SNSで勉強仲間と情報交換したり、スピーキングの伸びを実感できる工夫(録音して過去と比較する等)をしたりしています。「他の受験者と励まし合いながら頑張れた」というのも成功要因の一つでしょう。一人で悩まずコミュニティを活用するのも効果的です。
このように、周到な準備と本番での冷静な振る舞いが成功のカギです。中には「もっと対策しておけばよかったと後悔した」と語る人もいますが、それ自体が次回への教訓となり見事リベンジを果たした例もあります。成功者は総じて準備段階で失敗を経験し、そこから学んで改善した人たちです。あなたも過去の受験談を糧に、自分の弱点を補強していきましょう。
※体験談を活用する際の注意
他人の体験はあくまで参考であり、全ての状況が自分に当てはまるとは限りません。しかし「自分ならどうするか」とシミュレーションしてみることで、想定外の事態にも対応しやすくなります。成功例から良い部分を真似し、失敗例から同じ轍を踏まないようにする——そうした姿勢で体験談を活かしましょう。
5. おすすめの練習教材・ウェブサイト・アプリ
最後に、IELTSスピーキング力向上に役立つ具体的な教材や無料リソース、スマホアプリをご紹介します。独学でも効果的に練習するために、良質な教材やツールを賢く活用しましょう。初心者向けから中上級者向けまで、幅広くピックアップします。
5-1. スピーキング対策におすすめの書籍
書籍(参考書や問題集)は体系的に学習を進めるのに最適なリソースです。以下にIELTSスピーキング対策で評価の高い書籍をレベル別に挙げます。
『IELTS スピーキング・ライティング完全攻略』(アスク出版)
スピーキングとライティングを網羅した対策本です。日本語で丁寧に解説されており、スピーキングの基本的な構成や流れ、各パートの攻略法が初心者にも分かりやすく書かれています。読者からも「この本のおかげでIELTSスピーキングの基本が理解でき、無理なく学習を進められた」と好評です。初めてIELTSを勉強する方や独学で基礎固めしたい方にうってつけです。『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』(ベレ出版)
スピーキング力全般の土台作りに定評ある「瞬間英作文」シリーズの一つです。英文を瞬時に組み立てる練習を豊富に積めるため、即答力と文法の正確さが鍛えられます。中級者で「まだ話すときに英文を作るのに時間がかかる」という人におすすめです。『Collins English for IELTS – IELTS Speaking』(Collins社)
英国のCollins社によるIELTS特化シリーズのスピーキング教材です。豊富な例題と練習問題で実践的なスピーキング力を鍛えられる中~上級者向けの一冊です。ネイティブが使う自然な表現や発音に触れられる点も魅力で、より高いバンドスコア(6.5以上)を狙う人に適しています。全編英語ですが、その分リアルな試験に即した内容となっています。『Official IELTS Practice Materials』(IELTS公式)
ケンブリッジ大学などが制作しているIELTS公式問題集シリーズ(ケンブリッジIELTSシリーズ)には、スピーキングテストのサンプルも含まれています。公式モデルアンサーのトランスクリプトや評価コメントも掲載されており、試験官の視点を知ることができます。特に最新巻(IELTS 18など)は最近のトピック傾向を反映しているので、一度は音読練習や模擬練習に使ってみると良いでしょう。
これらの書籍を活用しつつ、自分の現在のレベルと目標バンドスコアに合ったものを選んでください。一冊を繰り返しやり込むことで確実に力になります。
5-2. 無料で使えるおすすめウェブサイト
独学者にとってインターネット上の無料リソースは強い味方です。IELTSスピーキング対策に役立つサイトをいくつか紹介します。
IELTS Liz(英語)
元IELTS試験官のLiz氏が運営する無料学習サイトです。スピーキングの頻出トピック毎の質問リストや模範解答動画、スコアアップのコツ記事などコンテンツが豊富です。難しいイディオムや高得点表現も紹介されており、中級以上の方に特に有益でしょう。サイト閲覧は無料で、YouTubeチャンネルもあります。IELTS Mentor / IELTS Material(英語)
これらは受験者コミュニティによるQ&Aサイトや対策ブログです。最新の受験報告に基づくスピーキングの記憶再現問題とモデルアンサーが掲載されていることが多く、「直近でこんな質問が出た」という情報収集に役立ちます。モデルアンサーを音読練習したり、自分なりに答えを考えてみたりと活用可能です。IELTS SQUARE(PlusOnePoint)(日本語)
日本のIELTS専門オンラインスクールが提供する対策記事サイトです。スピーキング対策の記事では採点基準の詳細解説から練習方法の提案、目標スコア別のサンプル回答音声などが公開されています。日本人学習者向けの具体的アドバイスが満載で、「日本人英語から脱却してネイティブのように話したい!」というコラムも興味深いです。無料とは思えない情報量なのでぜひ活用してください。IDP公式サイト(IELTS Japan)(日本語)
IELTS共同主催機関IDPの日本語サイトには、スピーキング対策のブログ記事や動画が公開されています。専門家からの10個のアドバイス
では「録音して自分のミスに気付こう」「完璧な発音より伝わる発音を」など具体的な提言が載っています。また無料のオンラインイベントや対策セミナー情報もあるのでチェックすると良いでしょう。
上記のようなサイトを定期的に見て、最新情報や良質な練習素材を入手しましょう。特にスピーキングは独りで練習しにくい分、こうしたサイトのモデル音声やスクリプトが貴重な教材となります。
5-3. スピーキング力向上に役立つスマホアプリ
通勤通学時間やスキマ時間に手軽に練習できるスマートフォンアプリも積極的に利用しましょう。近年はAIを搭載したものも登場し、発音や会話練習にフィードバックをくれるものもあります。以下、IELTSスピーキング対策におすすめのアプリを紹介します(※一部有料機能あり)。
IELTSpeaking(無料/一部課金)
前述した通り、本番さながらのスピーキング模擬試験ができるアプリです。Part1~3のインタビューをシミュレーションし、200以上のトピックで練習可能。録音機能付きで自分の解答を後から聞き返すこともできます。UIもシンプルで使いやすく、練習の記録や上達度をグラフで確認できるのもモチベーション維持に役立ちます。試験形式に慣れたい初心者~中級者に特におすすめです。ELSA Speak(エルサ・スピーク)(無料/有料あり)
AIがリアルタイムで発音を診断してくれる画期的なアプリです。IELTS専用ではありませんが、英語の発音矯正やスピーキング練習に非常に効果的です。「あなたの発音は〇〇%正確」と即座に評価が出て、どの音節が誤っているかまでフィードバックが表示されます。自分では気づきにくい発音のクセを直すのに最適で、「発音に自信がなかったがこのアプリで改善した」という声も多いです。無料版でもある程度使えますが、より多くの機能を使いたい場合は有料プラン検討も良いでしょう。NOTTA(ノッタ)(無料/一部有料)
高精度の音声認識で自分の話した英語を自動で文字起こししてくれるアプリです。スピーキングの練習時にこのアプリで録音&文字起こしを行うと、自分の発音ミスや文法ミスがテキストで可視化されます。後で客観的に文章をチェックできるので、「単数複数のs抜けが多い」「同じ表現を繰り返している」など改善点を発見できます。録音テキストは保存しておけるため、練習の記録としても便利です。ChatGPTなどと組み合わせて使えば、自分の回答の添削をしてもらうことも可能です。AIチャットボット(ChatGPTなど)
直接のアプリではありませんが、ChatGPTなどのAIチャットを仮想のスピーキングパートナーとして活用する方法もあります。例えば「IELTSの試験官になって、Part2の質問を出してください」と指示すると、それらしい質問カードを生成してくれます。自分が声に出して答え、それを文字入力すれば模範解答や改善点を教えてくれるなど、工夫次第で様々な使い方ができます。無料で24時間好きなときに練習相手になってくれる存在として、活用価値大です。
以上のようなツールを活用して、楽しみながら効率的にスピーキング練習を行いましょう。特に発音練習はアプリがあると独学でも捗ります。また、継続しやすさという点でアプリは強力な味方です。毎日通勤中に1トピック音読するとか、就寝前にAI相手に3問だけ話すなど、日々のルーティンに組み込んで継続することが上達の秘訣です。
まとめ
IELTSスピーキング対策を総合的に解説してきましたが、いかがだったでしょうか。最新傾向の把握から高得点テクニックの習得、ネイティブ・非ネイティブそれぞれの戦略、先輩受験者の教訓、便利な教材・ツールの活用まで、盛りだくさんの内容でした。
最後に、本記事のポイントを簡単に振り返ります。
2024年最新傾向: 出題トピックの更新が不定期化する動きがあり、IT・SNS・環境など現代的テーマが頻出。常に広いトピックに備え、想定外の質問にも対応できる柔軟性を持とう。
高スコア取得テクニック: 即答力を鍛える独り言練習や瞬間英作文、PREP法に基づく論理的な回答構成、接続詞や多彩な語彙の活用、伝わる発音とペラペラ感の追求など、スコアを押し上げるコツを磨こう。
ネイティブ vs 非ネイティブ: ネイティブでも慢心は禁物、小さなミスや説明不足で減点あり。非ネイティブでも正しい努力で高得点は可能。自分の強み弱みを分析して同じ土俵で戦う意識を持つ。
受験体験談の教訓: 大失敗から学ぶ緊張対策と準備の重要性、成功者に見る徹底準備と柔軟な対応力。「もっと対策すればよかった」という後悔をしないよう、事前にできることは全てやり切ろう。
教材・ツール: 良書を選び計画的に学習し、ウェブの無料リソースもフル活用。アプリでスキマ時間を有効化し、AIも練習相手にするなどテクノロジーも味方につける。一人で抱え込まず、使えるものは何でも使って効率アップを。
IELTSスピーキングは一見ハードルが高いように感じられますが、正しい方向で努力を積み重ねれば必ずスコアは伸びます。この記事の情報やコツを参考に、是非日々の勉強に取り入れてみてください。継続する中で、自分でも驚くほど話せるようになる瞬間がきっと訪れます。
あなたのIELTS挑戦が成功することを心から応援しています!自信を持って、本番では英語でのコミュニケーションを楽しむ気持ちで臨みましょう。Good luck!