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こんにちは!フリーランスの現役英日翻訳者、ランサムはなです。世間には英会話学校や英会話教材が山のように溢れています。これだけ数が多いと、自分にはどの教材がいいのか、何を選べばいいのか迷うことも多いのではないでしょうか?そこで今日は、教材開発に携わった経験のある筆者が、よい英語教材の見つけ方、自分に合った教材の見分け方をご紹介したいと思います。

英語教材には大きく分けて3つのパターンがある

英語教材には、大きく分けて3つのパターンがあります。1つ目は、①「英語が大好きで、英語の勉強をすることそのものが楽しい。詳しい知識を身につけてできるだけネイティブレベルに近づきたい」というマニアックな学習者向けの教材。2つ目は、②「英語が苦手で、できるだけ楽をしたい。そこそこ意思の疎通ができて日常生活に困らない程度の英語力がつけばいい」と思っている学習者向けの教材。3つ目は、③「英語は特に好きでも嫌いでもないが、仕事などで必要なのでレベルアップしたい」という方向けの教材です。

これらの種類の教材は、用途と目的によってアプローチが全く違います。特に①と②は両極端なので、カリキュラムの趣向が天と地ほども違います。①がオリンピック選手を養成するような高度なプログラムであるのに対して、②は「大人の初心者バレエ教室」のような、苦手意識を取り除くことに重点を置いたカリキュラムになっています。

「英語大好き派」が②の教材を見ると「こんなのインチキだ」「邪道だ」と思いますし、「英語苦手派」が①の教材を見ると、「こんなの難しすぎて無理」とさじを投げる結果になります。ですので英語教材を選ぶ際には、自分がどのパターンに該当し、最終目標として何を求めているのかを最初にはっきり自覚することが大切になります。

ただし世の中には、「大人の初心者バレエ教室に通えば、プロのバレリーナになれる」などのように、②のプログラムで①の結果が手に入るかのように宣伝している教材も多く、混乱することがあります。自分が英語学習にどれほどの時間とお金を投資する覚悟があり、それによってどのレベルに到達しようとしているかを把握できていないと、「これさえ飲めば1日でガンが治る」の英語教材版みたいな宣伝文句に惑わされて、迷走してしまいます。

コース変更は難しい

②と③を選んだ場合、苦手意識を取り除くことに重点が置かれるため、細かい間違いには目をつぶるというアプローチになります。間違いを気にして萎縮して何も話せないよりは、多少間違えても用が足せる方がいいからです。そのため、学習者は即効性があるように感じます。年に1回海外旅行に行って、レストランで好きな料理を注文できればいいと思っている学習者にオリンピック強化選手向けのメニューを与えても、苦手意識が増すだけなので、これはこれで十分なのです。

ただし、②を選んで①の結果が手に入ると期待してしまうと、失望が大きくなります。②で苦手意識を克服し、英語をもっと勉強したくなった、あるいは思いがけず海外駐在や国際結婚が決まり、込み入った話も英語でしなければならなくなった、などの理由で、②から①へのコース変更を試みる方もいます。

そういう方は、完璧な英語でなくても用事が足せることを経験済みなので、どうしても手抜きをするクセが抜けない傾向があります。コース変更は不可能ではありませんが、一度覚えてしまった話し方を変えるのは方言を変えるほどの努力が必要になり大変なので、よく考えて最初のコースを選ぶことが大切です。

どちらが良い、悪いはない

筆者は若い頃、「英語は完璧に話せた方がいい」と固く信じて勉強をしていました。その経験もあって、①の方法を学習者の方に勧めるのがいいと信じてきました。今でも基本的にその方針は変わりません。ただし今では「学習者が希望するなら」という条件を非常に重視するようになりました。

全員が全員、オリンピック選手レベルを目指す必要はないし、教師がこの方法はいいと思っても、学習者のニーズにマッチしていなければ、それはただの押し付けになってしまいます。①、②、③のどれを選ぼうが、正解・不正解はありません。学習者一人一人、目指すものが違うからです。せっかく時間とお金を投資するのですから、正しい知識を身につけて、ご自分に合った教材・学習法を賢く選んでいただきたいと思います。

ランサムはな

年間100万ワードの実務翻訳をこなす翻訳歴21年目の英日翻訳者。津田塾大学英文科、テキサス大学大学院教育学部(カリキュラム・アンド・インストラクション)を卒業。NYの日系新聞社の翻訳を始め、デル、グーグル、マイクロソフト等、一流企業が日本市場を開拓する際の製品やホームページの日本語化、Eラーニングの教材翻訳に多数参画。ネットで世界中から仕事を受注しながらアラスカなど各地を転々とした後、北海道富良野市で10年間暮す。現在はテキサスと札幌を行き来する生活を送る。英検一級。英検二次面接官。日本語教育能力検定試験合格。米国翻訳者協会(ATA)認定翻訳者。ブログは「日本とアメリカで働く翻訳者のブログ」。 ツイッター: @HanaKRansom
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