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こんにちは、クボタカズミです。現在サイゴン在住のベトナム人と外国人に、英語を媒介語として日本語を教えています。来越した時には思いもよらなかった仕事でしたが、日本語を教えることを通して媒介語の英語がいかに大切かを知り、そして「ベトナムに住みながら日本語という別のアジア言語を学習する外国人」という興味深い人々にも出会うことができました。現在までに5カ国からの生徒さんを教えていますが、その中で印象的な3人をご紹介します。

顧客は日系企業、ベトナム人会社経営者Dさん

Dさんはベトナム国内に数カ所の支店を持つ会社の経営者で、顧客は東南アジア各国、英語圏、そして日本の企業です。タイのインターナショナルカレッジでビジネスを学んだDさんは既に母語のベトナム語の他に英語、中国語、タイ語を話し、それぞれの顧客に使い分けていました。日本語は5カ国語目でした。

Dさんには日本語は実用性のある言語であり、また日本とベトナム・中国の歴史的な関連性にも強い興味があったようです。Dさんと日本語会話の練習をする傍ら、サイゴン出身の高齢者は漢字が読めるということ、日本語とベトナム古語に共通する点があることなどを教えていただいたり、日本の技術力を褒めていただく一方で、日本は人口減少でどんな対策をするのかなど聞かれたりしました。

私の方が教わることだらけで、どちらが先生?と思ってしまうほどでした。「日本語を教える」ということが、単に1つの言語を教えることを超えたものだと実感しました。

会社で英語とベトナム語を使い分けていた、韓国人駐在員Kさん

ソウルから赴任した大手韓国企業の駐在員Kさんには、会社内の会議室で日本語レッスンをしました。その在ベトナム韓国企業のオフィスに入った時に驚いたのは、3人ほどいた韓国人駐在員の方が全員ベトナム語をビジネスレベルで使っていたことでした。私のような外国人にはもちろん英語です。オフィスの雰囲気は日系企業と似ているのに、3カ国語が同時に聞こえていました。この一企業だけしか知らないので、一般論は言えないのですが、韓国企業の外国語に対する気迫のようなものを感じました。

既にかなりの日本語会話が出来たKさんに改めて日本語レッスンを始めた理由を尋ねると、やはり取引先に日系企業が多く、基本的には英語でビジネスを進めるが、日本語を流暢に話すことで取引先の印象がとても良くなるとのことでした。

実際にレッスンを進めて行く中で「韓国のビジネスマンはすごいですね、何ヶ国語も話して」と言うと「そうでなくては生き残れないんだよ。正直言って日本は内需が大きくて羨ましい。韓国は市場が小さいから外国市場に食い込まなくてはいけない。自分で言うのも何だが、私はものすごく努力した。しかしこんなに激しい競争は自分の子供にはさせたくない」と少し愚痴をこぼしていました。

将来日本でインターンをする予定の、フランス人大学院生Fさん

フランス人大学院生のFさんは、お母さんがベトナムに研究者として赴任したことがきっかけで、将来アジアでビジネスをするために、フランスの大学に籍を置きながらベトナムで国際ビジネス法の勉強をすることになったそうです。フランス語と英語を話すFさんは、ベトナムでは英語で単位を取得するものだと思い込んでいましたが、ある時ふと聞いてみると大学院では全てフランス語で授業が行われるということでした。改めて、ベトナムが旧仏領であったという事実を認識しました。

日本語を勉強する理由を聞くと、「子供の頃から日本文化に興味があり、アジアにいる今なら日本語を勉強出来る、と思いました。将来日本でインターンをするつもりですが、日本では日本語以外は通じにくく、日本語習得も時間がかかると聞いたので、今からスタートすることにしました」とのことでした。

レッスンの中でFさんの一日を日本語で尋ねると、「つまらないですよ。1日8時間法律の勉強をします。そして息抜きに1日2時間日本語の勉強をします。それだけです」とさらっと言って驚きました。専門知識を持ち数カ国語を話すということはこういうことなのか、複数言語の環境さえあれば良い訳ではないのか、と納得しました。


【写真】現在主に使っている日本語の教科書「げんき」

英語を勉強する意味を改めて知った

日本語を英語で教えることで、英語が机上の教科科目でなく誰かと意思疎通をするための重要なツールであることを改めて感じました。世界の色々なところに、日本に強い興味を持ち日本語を話したがっている学習者がたくさんいるにも関わらず、初級学習者の場合は英語(などの媒介語)がなければネイティブの日本語話者と接するのは難しいことを知り、それはお互いにとって勿体ないことだと実感しました。このことは、現在の私自身の英語学習への強い動機につながっています。

次回は、「ベトナムに転勤・就職!英語はどうする?」です。

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クボタカズミ

1975年神奈川県横浜市生まれ。美術大学建築学科中退、総合大学の教育学科を卒業後、大学附置外国語ラボのスタッフとして勤務。出産後に再就職に困り英検準一級と宅建を取得するも、再び大学スタッフへ。2013年に夫の仕事の都合でベトナム・ホーチミン市に居住地を移す。社内翻訳業務を経て、現在はベトナム在住の外国人に日本語を、在住日本人に英語を教える。一児の母。

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