photo by Daniel Case

「英語力を活かせる仕事をしたい」

「業務で英語を使う職に就きたい」

英語が得意なひと、好きなひとならば、1度ならずともそういう気持ちを抱いたことがあるのではないでしょうか。

現在、フリーランスで通訳案内士をしている私も、つい1年前まで、まさにそのひとりでした。高い英語力を必要とする専門職といえば、真っ先に思い浮かぶのが通訳もしくは翻訳。

それに比べると、インバウンド(※)という単語が定着しつつある最近でこそ、少しは知名度も上がってきたかもしれませんが、通訳案内士はまだまだマイナーな職業なのではないかな?という気がします。

(※この文章では「訪日外国人旅行」の定義でこの単語を使っています)

そこで、今回は通訳案内士という仕事について、ご紹介します。といっても、私は今年2月にデビューしたばかりの新人なので、まだこの仕事および業界のほんの一部しか見えてないだろうことは自覚してます。

ただ、新人だからこそ、この仕事になんとなく興味を持っている方や、資格取得を目指して勉強に励んでいる方には、この仕事の入り口あたりについて、鮮度の高い情報をご提供できるんじゃないかな、とも思います。

  • 通訳案内士の資格試験は、どのくらい難しいのか?
  • 通訳案内士の資格試験合格=通訳案内士の仕事をするのに十分な英語力が備わっていると判断していいのか?
  • そうでなければ、実際にはどのくらいの英語力が必要なのか?
  • そもそも、通訳案内士の資格をとった後、どうやって実際の仕事に結びつけられるのか?
  • 通訳案内士の仕事はどういうものがあり、どのくらいの収入を得られるのか?
  • 通訳案内士って、どういうひとたちが、どういう理由やきっかけで、なっているのか?

こういった、数年前の自分が知りたかった内容を中心に、記事をまとめていくつもりです。

2015年の訪日外国人数は約1,600万人(10月時点)、10年間で3倍の伸び

さて、本題に入る前に、インバウンド業界の現状について、簡単にご説明しておきます。

2015年10月単月での訪日外国人数は182万人(前年比43.8%増)に達し、1月からの累計では1,631万6,900人。

これまで過去年間最高だった2014年の1,341万人を早くも超え、年内に1,900万人突破が見込まれているとのことです(2015年11月18日のトラベルボイスの記事参照)。

小泉首相(当時)を中心に政府がビジットジャパンキャンペーンを立ち上げた2003年、訪日外国人数はまだ500万人前後(YOKOSO!JAPAN参考資料参照)。

10年ちょっとの間に、3倍以上も伸びていることになります。そういったインバウンド業界の好況にあやかり、ありがたいことに新人の私も多くの機会に恵まれ、すでに100人以上の外国人観光客の方々を案内してきました。

訪日外国人への有償のガイドサービス提供に必要な資格が通訳案内士

さて、日本では外国人に有償のガイドサービスを提供するためには、通訳案内士の資格が必要となります。通訳案内士は国家資格であり、言語毎に取得しなくてはなりません。

かつては合格率が1桁台の最難関試験でしたが、通訳案内士の数を増やしたいという政府の意向もあり、私が資格を取得した2011年度には14.6%、昨年度に至っては26.6%(どちらも英語、キャリアガーデン参照)と、試験の平易化が急速に進んでいます。

実は、2011年度の合格は、私にとって2度目のリベンジでした。初めて通訳案内士の資格試験を受けたのは、2004年度。今と違って一次試験免除要件はなく、英検一級レベルに相当するオリジナルの英語試験をパスする必要がありました(※)。

(※今では英検一級もしくはなんとTOEIC840点以上(!)で英語の一次試験免除となります。詳細は通訳案内士試験を管轄している日本政府観光局の該当ページをご参照ください)

当時社会人2年目でキャリアに迷っていた私は、大金をつぎこんで専門学校に通い始めた挙句途中で息切れし、大失速したまま本番を迎え、見事玉砕。

が、その後紆余曲折あり、7年後、必要以上のお金はかけないことを決めたうえで再度チャレンジし、ようやく合格することができました。

次回は、そんな初回の大失敗の反省も踏まえた、通訳案内士資格試験の勉強方法についての記事を書く予定です。