東南アジアの求人

前回と前々回の記事では、東南アジアで通訳・翻訳として勤務するメリットデメリットについてご説明しました。

しかし、これを機会にやりたいと思っても実際に就職口がなければ意味がありません。では実際にどんな求人がでているのかを2014年の7月上旬~8月上旬の約1ヶ月間調べてみました。

マレーシア 社長秘書募集

月給:6,500RM(約20万円)

業務内容:

  • 社内文書の英語⇔日本語翻訳
  • 日本本社へのレポート(主に技術や財務にまつわるもの)作成
  • 会議通訳(ウェブ会議を含む)
  • 社長のスケジュール管理、出張手配とEmail及び電話応対

実際にマレーシアで通訳・翻訳の就職活動をして色々な人に話を聞いて、また実際に勤務をしての感想としては、以下の3点が大事なポイントだと思われます。

  1. 同業のライバルは日本人ではなく日本の大学などで勉強したマレーシア人なので、給料が現地の相場となる。結果、相対的に日本人からすると割りに合わない数字となりがち。
  2. 通訳・翻訳を希望する人があまりいないので、別の職種(事務・秘書など)を希望していた人が通訳翻訳として採用されることも良くある。
  3. 通訳・翻訳が付くのは現地法人のエグゼクティブや日本からの出張者対応なので、採用や経営、運営に関連する会議に出ることになる

日本でエグゼクティブ対応をする通訳はかなりの経験者でないとあまりアサインされませんが、海外なので最初からバンバン大きな仕事が来ます。これを、

「安い給料で搾取」とみるのか「市場評価以上の仕事をして価値をあげるチャンス」と見るかはそれぞれの判断だと思います。

フィリピン 病院で医療通訳

月給:5万ペソ(約12万円)

業務内容:

  • セブ市内病院にて患者と医師や病院との通訳
  • 検査・入院等のアシスト
  • 保険会社とのやり取り

給料は海外での現地採用値段ではあります。日英通訳で、海外の病院に勤務している人とあったことがありますが、大体女性で同じ病院に長期間勤務をしている人が多い印象を受けます。

そういった点からすると、長く勤めてくれる人を病院側が求めている可能性があります。

その場合は経験として1-2年やる、次に日本や他の国の病院で勤務(仕事があれば)というのがどう評価されるかは分かりません。

将来医療通訳をしたいという人の場合、病院での通訳経験が欲しい人ならチャンスだと思います。

ベトナム 会計事務所アシスタント

月給:12万円〜20万円

業務内容:

  • 日本人Director/専門家のサポート
  • 日本からの顧客対応(高度な専門性を有する部分は除く)
  • 必要書類の作成
  • リサーチ業務のサポート
  • 広報
  • 通訳・翻訳など

通訳翻訳の仕事とアドミン系の秘書や事務業務は、本来は別な仕事ですが(というか翻訳・通訳も本来は別ですが)、日本でキャリアを積むとしても、現役の通翻訳者が最初はリサーチや英文事務からスタートした方も結構いるようです。

また、この会社は進出コンサル業務がメインのようですが、会計まわりの用語に触れて会計事務所の雰囲気にも浸れそうなので、専門分野の知識も得られそうな印象です。

日本でIR関連の通訳翻訳を中心にキャリアを形成したいなら、ここで2年くらい修行するというのも手ではないでしょうか。

シンガポール1 役員秘書兼通訳

月給:34万円~84万円

業務内容:

  • 新会社立上げに伴う、役員付き通訳兼秘書業務一般
  • 会議議事録作成 通訳・翻訳業務
  • スケジュール管理
  • 報告書作成・資料作成
  • 役員の海外出張への同行(月1回程度)
  • その他

募集条件として、

  • 金融(証券含む)業界でのご経験
  • バイリンガルレベルの高い英語力
  • 秘書・アドミン・通訳・翻訳経験

がマストになっています。経験者のみの募集ですが、これから先も、こういったポジションがシンガポールで発生してくることが想定されます。

ちなみに、同じ求人で他社は月給42万円でした。ただ、シンガポールは住居費が高いのでシェアハウスでも月に10万円は使うのを覚悟しておいてください。

シンガポール2 ゲーム系翻訳、通訳業務(出張有り)

月給:28万円

業務内容:

  • 社内日本人スタッフと現地スタッフ間通訳
  • 社内ミーティング時通訳
  • 社外クライアントとの会議通訳
  • ゲーム仕様書の翻訳-
  • 本社とのメールの翻訳

今仕事をしている会社がアニメですがゲームのムービーなども作成しているため結構身近な気がします。日本でもゲーム系のローカライズなどの案件はよく通訳翻訳で見かけます。

ある意味で、日本に戻るとしてもそれなりに募集はある業界っぽいです。ただ、アニメもそうですが、好き嫌いがあるので仕事とするには人を選ぶ傾向があります。

向かない人は本当に向かない職種ですが、合えば天職かもしれません。

シンガポール3 大手リゾート施設で通訳兼Admin業務

月給:32万円~を目安

業務内容:

  • Senior Vice Presidentのサポート業務
  • 打ち合わせ、会議のセッティング
  • 出張手配
  • 報告書、発表資料の作成
  • 打ち合わせ時の通訳(日英)

この求人はローカル企業なので、外資の会社です。外資の会社ですと、やはり労働環境などが日本とは違います。

インドでは飛び石連休の際に真ん中を有給で埋めても誰も何も言わないし、有給は使い切れるのが当たり前な環境でした(今も合弁企業なのでかなりそうですが)。

日系の雰囲気よりも外資が良い人にはおすすめなポジションかもしれません。

シンガポール4 豊富な語学力を生かしたい方へ 大手日系企業

月給:32~36万円(能力に応じる)

業務内容:

  • 各種資料やメールを英語へ翻訳(社内プレゼンテーション資料、部内レポート資料、部内情報共有メール等)
  • 部内ルール施策展開、フォローアップ等
  • 関連部署との連絡調整
  • その他、関連業務
  • コミュニケーション能力の高い方

最後がこちら、日本の金融機関で通訳翻訳の専属ポジションです。金融系の業界経験を積むことができそうなので、狙っている人にはチャンスだと思われます。

日本で金融系のバックグラウンドがない人は、いきなり金融で通訳翻訳をするのは相当難しいです。しかしそれも競争率が低い海外なら可能かもしれません。

列に並ぶ人が少なければそれだけマッチングの率は上がります。(といっても未経験では厳しいかもしれませんが・・・)

インド 翻訳・通訳スタッフ

年収:25,000USD(250万円)

業務内容:

  • 仕様書などの文書の翻訳(日⇔英)業務
  • 現地での通訳および付帯業務

インドでは、外国人へのビザ発給の最低賃金が年25000USDになっています。それ以下の給料の場合、インターンならセーフですがそうで無い場合は黒または相当グレーになります。

肩書きとしては、TranslatorのほかにLanguage SpecialistやLanguage Expertというのを良く見る事があります(私もインド時代は日本人なのに日本語スペシャリストという微妙な肩書きでした)。

インドの求人の特徴は、ITの強みを活かしてソフトウェア受託会社が日本と取引をするためにトランスレーター募集を出していたり、メーカーが秘書・事務業務込みで募集をしている事が多いです。

インド勤務の派遣会社の人と話した事がありますが、インド人通訳・翻訳はまだまだ基本のレベルが低いのでしっかりした語学力とスキルがあれば就職すること自体は可能なようです。

ある意味で、ブルーオーシャンといってもいいと思われます(ただしインドですが)。

まとめ

以上、見つけた求人を紹介してみました。同じタイミングに募集があったものの、ここで紹介していないポジションはまだまだあります。多いと感じますか?少ないと感じますか?

常にこれくらい幅広い業界の仕事が常時あるかというと、タイミング次第なのでなんともいえません。

1ヶ月だけでなく3ヶ月くらい、東南アジアを旅行しながら募集があればエントリーして、面接が決まればLCCで受けに行く、位の気持ちでいると精神的にも楽だと思います。

一つだけ言えるのは、就職活動はやはり「縁」だということです。一期一会を大切にして、自分の基準で判断をしていくしかないと思われます。

しかし、それで就職してもすべてが解決するわけではありません。現地で仕事をする上で苦労する点を次回にまとめます。

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